人間とコンピュータがより協調する未来においては、コンピュータが人に寄り添う技術が必要となります。われわれは、高度な情報処理技術により、多数のセンサや機器・端末から得られる膨大な情報から、ヒト・モノおよび周辺環境を解析します。そして、情報システムにつながる人々の生活支援技術など、人間の役に立つ情報技術について研究開発を行います。
情報システム分野
- 人間の行動を習得するためのセンサ技術やコンピュータ利用技術、その情報を集約するためのネットワーク技術を基本技術として、先進的なソフトウェア応用技術を用いることで、様々な分野で利用できる情報システムの開発を行います。具体的な応用分野として、医療看護支援や介護予防分野を選び、現場と連携しながら利用価値の高い製品の開発につながる研究開発を行います。また、多数のセンサが生み出す大量のデータを効率的に管理・処理するために、並列計算に特化したハードウェアの応用研究も行います。
人間情報分野
- 各種センサを用いて人間情報を取得し、機械学習などの高度なデータ分析を通して、人間情報の工学的応用を目指しています。その一例として、脳情報を解読し、考えるだけでコンピュータを動かすブレインマシンインタフェース(BMI)の開発や、マーケティング分野への応用、さらには心電図や胃電図などの新しい生体情報の計測や解析による看護理工学研究を行っています。他大学情報分野の研究室との共同研究も実施しており、基礎研究、応用研究の枠にとらわれず、人間情報に関するテーマを多岐にわたり研究します。
- 例えば巡回セールスマン問題(厳密に解く実際的時間のアルゴリズムは多分存在しない)については100頂点程度の問題なら、ほぼ確実に短時間で最適解を得るアルゴリズムを発見するなど、自然計算の手法で最適化問題を近似的に解く研究を行います。
- 近年、電子機器の発展により、生体情報は簡便に計測できるようになりました。世界的な社会の高齢化に伴い、こうした技術への期待はますます高まっています。本研究では生体信号を解析することで、生体系に通底する数理的な仕組みの抽出し、種々の分野への応用を目指しています。
先端ソフトウェア分野
- システムに内在する数理的な構造を抽出すると同時に、そこで捉えきれない要素を実世界とのインタラクションを通じて同定するような、新たなシステム最適化の技法について、現実の事例を取り上げながら研究します。
- 数学を基盤とする明確で厳密な意味を持つ言語を用いて、ソフトウェアやハードウェアなどのシステムをデザインし、コンピュータの支援のもとでその正しさを証明する形式手法について研究します。
- 実世界と関わりを持つ人間̶機械系(マンマシンシステム)、サイバーフィジカルシステム、IoTシステムなどを対象に,数理最適化と形式手法技術を応用し、安全かつ高効率な実システムの設計について研究します。